特別収容プロトコル:
SCPA-00370は、一般的に使われる普通の傘と見分けがつかないため、保管に十分注意が必要です。SCPA-00370は、財団側の管理下にある鍵のかかった箱に収容され、関係者以外は取り扱い厳禁となります。
SCPA-00370の所在は、常に最新のログに記録され、財団メンバーは定期的に監視に当たります。SCPA-00370に関わる実験や調査は、よく考慮された上で主任研究員の承認を得る必要があります。SCPA-00370の解放は、細心の注意を払って行われるよう注意が必要です。

説明:
SCPA-00370は一般的な傘としての外観を持ち、問題を起こさない限り一般人は通常の傘であると思い込むことができます。しかし、特定の手順で折り畳まれると、物理的に常識に反する空間を抱えた場所に変化します。
SCPA-00370に関する調査によると、折りたたまれた状態での容量は数十倍にも膨れ上がり、通常の最大容量を遥かに上回るものとなっています。さらに、SCPA-00370を展開すると、物質がSCPA-00370の本体から吸収され、展開された状態での傘を別の空間にトランスポートします。
SCPA-00370が会得する空間は、建物内や地下鉄やトンネル、あるいは他の様々な場所で、場所によってはSCPA-00370を扱うことが出来る範囲が大きく異なります。
このSCPAは現在安全だとされていますが、管理されない場合、予期せぬ空間への転移や一般市民の中での被害が発生する可能性があるため、常に十分な注意を払う必要があります。

SCPA-00370の所在を管理するために、財団のメンバーは、展開と変形を試み、その性質に対する理解を深めるために、定期的に実験しています。
SCPA-00370の展開には、適切な方法と手順を必要とし、展開された状態での傘が異なる側面を持つ場合もあります。
一度展開されたSCPA-00370は、常にその新しい空間に残存し、従来の場所に戻すことは不可能であることが判明しました。
SCPA-00370を折り畳むことができる強度には限界があるため、展開された後のSCPA-00370は再度折り畳むことができないことも確認されています。
現在のSCPA-00370本体の分析は、近代的な分析装置と方法を用いて行われており、特異物質についての貴重な情報を提供することが期待されています。それにもかかわらず、SCPA-00370自体が安定しており、展開プロセスによって転移が発生しない限り安全であることが判断されています。SCPA-00370を展開する手順は、通過する空間の特性によって異なります。SCPA-00370を扱う際に慎重さが必要なのは、目的地の情報を明確にすることが出来ないことが要因です。SCPA-00370から獲得されたデータは、目的地を特定するために使用され、SCPA-00370がトランスポートする空間の場所を測定するためのデータが収集されています。
SCPA-00370からのトランスポートは、安全性と完全性を保つために迅速に行わなければならず、SCPAの展開期間中には、状況に合わせて特定の設定が必要です。SCPA-00370が特定の目的地に到達すると、内部の特殊な銀色の目盛りが再現され、物質が折り畳まれた傘の元の空間に戻ることができます。
SCPA-00370の製造元や、SCPA-00370に使用されている特殊素材に関する情報は、現在のところ確認されておらず、このSCPA-00370を製造する能力についての情報もないとされています。SCPA-00370の発見前に、現行の医療技術以外の物質の存在が知られていた場合、これらの物質がSCPA-00370に関連しているかもしれません。また、SCPA-00370に関する調査研究についての新しい結論や、SCPA-00370の新しい機能が発見された場合は、財団は迅速に適切な手順を講じる必要があります。

補遺:
SCPA-00370から回収された生物学的スペシメンの研究は、SCPA-00370が異常性質を有することを補強する結論を導きました。SCPA-00370が起こす特異な効果は、SCPA-00370の内部に未知または未確認の生物学的エンティティが存在する可能性を示唆しています。現在、このエンティティに関しての詳細な研究が進められています。
また、SCPA-00370の展開に失敗した場合のプロトコルが開発されました。SCPA-00370を展開した後、SCPA-00370が目的地に到着しなかった場合は、直ちに空間転移能力を持つエージェントを派遣し、SCPA-00370の位置の追跡に取り組みます。SCPA-00370の捜索にも関わらず、転移が発生する場合があるため、付随するリスクを最小限に抑えるために、SCPA-00370が展開される際には必ず防護措置が施されるよう勧告されます。
SCPA-00370の安全性を確保するため、SCPA-00370が管理されている施設では、現在のところ、展開やさらなる研究は行われていません。SCPA-00370の異常な性質の倫理的な検討が、財団内の議論専門家の間で行われています。

注意事項:
SCPA-00370に関わる研究、実験、および扱いの際には、現場に許可を得ている財団メンバーが立ち会わなければなりません。SCPA-00370の所在はすべての調査員がに簿記録され、責任者の指示によってのみアクセス可能となります。SCPA-00370が発生する可能性のある状況では、注意深く展開された事後調査が必要です。
SCPA-00370は、一見して普通の傘のため、会話している場合に誤って取り上げてしまうことが起こり得ます。SCPA-00370が管理外に出た場合は、速やかに回収され、収容されなければならないということを理解してください。SCPA-00370を扱う責任者は、その結果が適切な収容手順に従ってNPCフォロワーに報告され、SCPAファイルに搭載されることを確認しなければなりません。

記録番号:
SCPA-JP-00370

報告者:
██████ 博士

承認者:
█████ 博士