特別収容プロトコル:
SCPA-JP-00629の収容場所は、セキュリティレベル3以上の施設において、2重のドアと鉄格子で守られた個室内に保管されます。SCPA-JP-00629に近づく際には、外部に発信する照射光源を用いて、蠕動を観測する必要があります。SCPA-JP-00629の蠕動速度が異常に加速した場合は、即座に別の保管室に移動する必要があります。SCPA-JP-00629の保管室は、致死的な暴動を引き起こす危険があるため、SCPA-JP-00629にアクセスする場合は、医療チームとセキュリティチームが同時に立ち会う必要があります。SCPA-JP-00629の近くにいる人員は、いかなる場合でもSCPA-JP-00629に触れたり、スキャンしたり、表示器具を使用したりしてはいけません。SCPA-JP-00629を解放するために必要な手続きは、至極慎重に行われます。SCPA-JP-00629の保管室内には、破損した傘やウェアラブルデバイスの存在が許可されます。しかし、SCPA-JP-00629の装備保管品は、まったく許可されません。

説明:
SCPA-JP-00629は、手で持つ形状の傘であり、一見したところ普通の傘と変わりありませんが、周囲に1km半径の範囲にいる多足動物を操る特殊な能力を持っています。SCPA-JP-00629における"多足動物"とは、一般的な昆虫、節足動物に限らず、クモやムカデを含む多くの種類の生物を指します。SCPA-JP-00629の能力は強力で、動物たちは傘の持ち主の命令に従い、攻撃、移動、集団行動等、複数の異なる行動を実行します。SCPA-JP-00629に触れた直後、能力が持ち主に転移するため、周囲にいる多足動物が持ち主を攻撃する可能性があるため、使用に際しては十分な警戒が必要です。SCPA-JP-00629の蠕動運動は、常軌を逸しており、医学的に受け入れられる説明が存在していません。SCPA-JP-00629を使用した操作中は、傘の表面に測定器を取り付け、蠕動の変化を常に監視するよう努める必要があります。SCPA-JP-00629によって影響される動物たちは、傘が保管室の中にある場合でも、周囲の環境要因に過敏に反応します。SCPA-JP-00629によって操られる多足動物によって引き起こされる損害は、非常に深刻で、人格・経済的・環境的に影響を及ぼす可能性があります。SCPA-JP-00629のコントロールに失敗した場合、周囲の多くの生物が損傷を受け、ニアミス的な状況が発生する危険があるため、SCPA-JP-00629の管理は至極慎重に責任を持って行う必要があります。

SCPA-JP-00629は、数年前にある旅行者から発見され、SCPA Foundationに保護されました。その旅行者は、SCPA-JP-00629を持っていた小さな店から入手しています。この店は、通りに多数の傘が並べられ、多くの人々が出入りする地元の有名な傘屋でした。SCPA-JP-00629が店の在庫であったか、単に偶然店内にあったかは不明です。SCPA Foundationは、SCPA-JP-00629が海外で発見された他の何件かの傘と似た傘であることを突き止め、国際共同調査の結果、現在はSCPA-JP-00629本体と同じ能力を持つSCPA-███-███, SCPA-███-███, SCPA-███-███-███などが発見されました。これらのSCPAは、日用品として一般市民の手に渡ることがあり、これ以上の散布を防ぐために、SCPA Foundationによって強制収容されています。SCPA-JP-00629についての研究が継続されている中、工学者たちはSCPA-JP-00629と同等もしくはそれ以上の能力を持つ装置を開発し、保有するSCPA Foundation施設でのSCPA-JP-00629の収容によって駆逐する努力を強化しています。SCPA-JP-00629は、使用者の周囲の動物たちを制御することができる点で独特です。よって、SCPA-JP-00629は、輸送業者、冷凍・保冷倉庫等の動物の存在が多い職場での使用には向いていません。SCPA-JP-00629の使用により失敗した事件の中で最も有名なもののひとつは、SCPA Foundation施設内の昆虫コロニーに放たれた事件です。SCPA-JP-00629を保管していた場所からSCPA Foundation施設内の昆虫コロニーがあるエリアに接している場所に突如現れた多くの昆虫が、SCPA Foundation職員が確保することができないほど蠢動し始めました。昆虫の大群は、建物の壁や床に穴を開け、トンネルを掘ることができるほどの破壊力を持つことが明らかになり、SCPA Foundation施設に深刻な損害を与える結果となりました。この事件を受け、SCPA-JP-00629はより強固な収容プロトコルの下で更に丁寧に保管されるようになりました。SCPA Foundationは、こうした異常が発生する可能性があるSCPA-JP-00629の開発に携わった人物に対し、報告書と文書の排除を含む一連の措置をとることが決定されました。現在までのところ、SCPA-JP-00629に関しては、特別な管理措置と取り締まり体制が取られています。

補遺:

SCPA-JP-00629を保管していた部屋について、別のSCPAの保管場所として再活用することと決定されました。SCPA-JP-00629の収容プロトコルは、新しいSCPAの保管に適切に対応するために微調整されました。SCPA Foundationは、SCPA-JP-00629の封印と引き換えに、危険度が低めなSCPA-███-███ の使用許可を付与することで交渉を行いました。SCPA Foundationは、SCPA-JP-00629に類似する、またはそれ以上の危険度を持つSCPAの発見を促進するため、SCPA-JP-00629の研究が継続されます。SCPA Foundationは、SCPA-JP-00629に関する報告書を報告の完了時に消滅させるため、ほとんどの情報にアクセスすることが困難になったとされています。SCPA-JP-00629に関する情報が維持されるため、研究者には、保管場所に限定して、報告の内容を最小限にとどめ、わずかな情報のみを共有するよう要求されています。SCPA-JP-00629は、SCPA Foundationによって倫理的に管理されるべきSCPAとみなされ、SCPA Foundationは引き続き、SCPA-JP-00629が人類及び世界に与える可能性的な危険に対処する努力を続けます。

注意事項:
SCPA-JP-00629の所有および操作には、サイト長の承認が必要です。SCPA-JP-00629の装備保管品に触れることは、厳しく禁止されています。SCPA-JP-00629の操作前には、最も効果的で安全な方法を特別収容プロトコルに従って確認してください。SCPA-JP-00629による事故は、大量の脱走、感染症、傷害、損傷を引き起こすため、操作中は、十分な医療チームとセキュリティチームを確保する必要があります。SCPA-JP-00629の使用には、多大なリスクが伴い、使用前には、リスクを十分に評価し、注意深く行う必要があります。SCPA-JP-00629の解放前には、周囲にいる全ての人員を避難させることが必要です。SCPA-JP-00629の安定性に関する研究は引き続き継続されます。

記録番号:
SCPA-JP-00629

報告者:
█████ 博士

承認者:
O5評議会 (承認番号: J8D7K4L-O5)