特別収容プロトコル:

SCPA-JP-00364「深淵のメロディ」は、全ての録音機器からの音声入力を常時監視するため、設置された収容室内に音響機器を備えた監視員が常駐している。録音機器からの音声入力が確認された場合、監視員は直ちに入力の収集と解析を行い、SCPA-JP-00364に関連する異常性が確認された場合は、収容室内に備え付けられた水銀断層装置に接続して、SCPA-JP-00364の周波数を調整および下げることで、情報量籠城 (情報量爆発)を防止しつつ、収容を行う。

SCPA-JP-00364へのアクセスは、探索試料ルール第5号「古代遺物への詳細な調査」に従い、抜本的な監視と制限を維持して置かなければならない。SCPA-JP-00364の入手、聞取方法、ならびに有用な録音機器の使用は、特定の探索チーム員に限定され、収容プロトコルの必須セキュリティ基準を順守することが求められる。SCPA-JP-00364の使用には、O5評議会の了解が必要である。

説明:

SCPA-JP-00364「深淵のメロディ」は、聞いた者に影響を及ぼす異常音波である。この音波は、非常に低い周波数帯域に存在し、リズムを刻んだ何千もの周波数成分の集合体から構成される。SCPA-JP-00364は、人間の感覚器官には聴覚ととらえられづらく、また、稀にそれらの成分の極性が反転されることで、この音波を聴くことで識別したり、書き留めたりすることもできるが、SCPA-JP-00364を何らかの形で知覚した後、拍動している頭部や心臓の機能不全を引き起こす。SCPA-JP-00364は、音声録音機、録画装置、及び同様のデジタル媒体による播送、伝送、放送などによって伝播される。

SCPA-JP-00364が最初に発見されたのは、２０██年に日本の地下にある洞窟内で一連の音声で聴かれたことにより、SCPA財団の調査によって確認された。調査の結果、SCPA-JP-00364は単一の存在ではないことが明らかにされた。SCPA-JP-00364自体は一種類ではなく、各種類の異常音波の集合体として存在していると考えられる。

SCPA-JP-00364が人間から収集された記録は、研究中に発見されたものだけで数量が膨大であり、SCPA-JP-00364が影響を及ぼすとは限らない。SCPA-JP-00364が影響を及ぼすか否かは、個人差があり、また、SCPA-JP-00364が発生する周波数、深度、声量、刺激時間、および徐々に増幅される周波数帯域の変動によって影響は大きく異なる可能性がある。さらに、SCPA-JP-00364によって引き起こされた損傷は、記憶喪失、虫垂切除術、苦痛、ホールシンドローム、そして心理的な状態を伴う身体的な症状がある。

SCPA財団は、SCPA-JP-00364に対して徹底的な抑制措置を行うことで、SCPA-JP-00364による被害を最小限に抑え、SCPA-JP-00364についての継続的な研究を進めている。

SCPA財団の分析によれば、SCPA-JP-00364は人間の身体的、精神的状態に影響を及ぼすと考えられている。SCPA-JP-00364は、聴衆のメンタル状態に応じて、音波パルス強度を調整することができる。さらに、SCPA-JP-00364は、その強度を増幅して高めることができるため、損傷がより深刻になることがある。

SCPA-JP-00364を聴取した人々からの調査結果によれば、SCPA-JP-00364が引き起こす損傷の発現状態には差異がある。例えば、以下のような現象が観測されている。

• 倦怠感や不安感を引き起こすことがある。
• 認知障害を引き起こすことがある。
• 無気力になり、運動機能に影響を及ぼすことがある。
• 強い耳鳴りや頭痛を引き起こすことがある。
• 集中力や判断力に影響を及ぼすことがある。
• ある種の幻覚を見たり、不思議な夢を見たりする人がいる。

SCPA-JP-00364が発生する原理については、SCPA財団によって研究が進められているが、現在に至るまでもまだ正確に把握されていない。これまでの研究により、SCPA-JP-00364は一種の生命体のようなものであると考えられている。SCPA財団では、SCPA-JP-00364の特徴や働きを理解し、SCPA-JP-00364の危険性を最小限に抑えることが急務と考え、今後も継続的な研究を行っている。SCPA-JP-00364の継続的な調査によって、SCPA-JP-00364発生の仕組みの解明が進んでいる。SCPA-JP-00364はどのようなものであるか、なぜ人々に強い影響を与えるのか、以前よりも多くの情報がつかめるようになってきた。

SCPA-JP-00364の継続的な研究によって、SCPA-JP-00364の生物学的基盤、倫理コードの系譜、及び、SCPA財団収容室の設備に与えるレベルにも関心が高まっている。

SCPA-JP-00364は、炎症反応のサイトカイン刺激等によって引き起こされる細胞自殺に類似する生体反応を引き起こすことがあると推定されている。具体的には、SCPA-JP-00364による細胞自殺は、錐体細胞のアポトーシスによって引き起こされることがある。SCPA-JP-00364は、ヒト耳介のストレスターゲットとして知られており、SCPA-JP-00364で引き起こされる影響は耳介から脳への抑制を通して引き起こされるものである可能性が高い。

SCPA-JP-00364の収容プロトコルに関しても、SCPA財団では、研究や実験等の目的以外ではSCPA-JP-00364を使用しないことを勧告している。SCPA-JP-00364はターゲットに強い影響を与えるため、SCPA財団はSCPA-JP-00364使用に関する正式なガイドラインを策定し、SCPA-JP-00364の取り扱いに関する警告を出し、SCPA-JP-00364による損傷の引き起こされるリスクを最小限に抑えようとしている。

補遺:

SCPA財団におけるSCPA-JP-00364の研究は、初期段階に遡りやすいよう、記録の整理と分類に力を入れている。SCPA財団によると、SCPA-JP-00364の観察結果、特にSCPA-JP-00364が差し出された条件についての詳細、すべての被験者が同様に影響を受けるかどうか、SCPA-JP-00364の種類（音波の固有情報）や効果（損傷を引き起こす程度）の差異や影響の階層などが把握され、記録簿に整理されている。

SCPA財団による研究では、SCPA-JP-00364の原因の特定、ならびにSCPA-JP-00364と人間との相互作用についての新たな発見がなされることが期待される。SCPA財団では、SCPA-JP-00364に対抗するべく、SCPA-JP-00364に対して新たな収容対策や防止対策を実施するなど、SCPA-JP-00364を縮小し、SCPA財団が情報セキュリティを維持するための技術を開発中である。また、SCPA財団はSCPA-JP-00364の特性を分析し、SCPA-JP-00364が人体にもたらす可能性のあるさまざまな影響を抑えるため、新しい防衛措置などの施策の開発に努めている。

SCPA-JP-00364により被害者に苦痛を与えることが避けられない場合、SCPA財団は適切な場所での限られた時期的な使用を模索しており、それによってSCPA財団の安全な研究を支援している。続く数ヶ月から数年という期間、SCPA財団は新たな発見、発明、そして新たな示唆についての研究を継続し、SCPA-JP-00364に対する取り組みとともに、SCPA財団機関間コラボレーションを中心に新しいプロトコルの採用を検討していく予定である。

注意事項：

SCPA-JP-00364（「深淵のメロディ」）に関連する情報にアクセスするには、SCPA財団のセキュリティ規定を遵守する必要があります。つまり、すべての調査員はSCPA-JP-00364を聞くため、またその影響を受けるために必要な訓練を受けることが求められます。SCPA-JP-00364の記録は、社員 ID を使用して個人差別化されたアクセス許可が必要であり、また、アクセス記録が常に監視されます。

SCPA-JP-00364の情報は、SCPA財団外部には一切漏れてはならず、SCPA財団の機密保持規則による絶対に機密保持されます。もしSCPA-JP-00364に関する情報が外部に流出したと確認された場合は、全ての記録を継続的に追跡し、SCPA-JP-00364に関連するすべての人物を報告するよう研究所責任者に報告しなければなりません。

SCPA財団は、SCPA-JP-00364に関するあらゆる情報に対して最高度の機密保持を行います。あらゆる安全プロトコルに綿密な検証と評価を実施し、関与する全ての人物を厳格に検証します。SCPA-JP-00364に関連する情報については、財団内のタスクフォースCENSORED-ALPHAが監視と処理を行います。

記録番号:
SCPA-JP-00364

報告者:
Dr. ████████

承認者:
Site-██ セキュリティ責任者, Level 4 認証 required.